事務所便り2月
「改正高年齢者雇用安定法」に企業はどう対応するか?
◆経団連による調査結果
改正高年齢者雇用安定法の施行が今年4月1日に迫っています。他社ではどのように対応しようと考えているのかが気になるところでしょう。
ここでは、日本経済団体連合会(経団連)から発表(昨年10月)された「2012年 人事・労務に関するトップ・マネジメント調査」の結果をご紹介します。
◆法改正で必要となる対応は?
上記アンケートにおける「高年齢者雇用安定法の改正に伴い必要となる対応」(複数回答)との質問に対する回答結果(上位10位)は、次の通りとなっています。
(1)高齢従業員の貢献度を定期的に評価し処遇へ反映する
(2)スキルを活用できる業務に限りがあるため提供可能な社内業務に従事させる
(3)半日勤務や週2~3日勤務による高齢従業員のワークシェアを実施する
(4)高齢従業員の処遇(賃金など)を引き下げる
(5)若手とペアを組んで仕事をさせ後進の育成・技能伝承の機会を設ける
(6)60歳到達前・到達時に社外への再就職を支援する
(7)60歳到達前・到達時のグループ企業への出向・転籍機会を増やす
(8)新規採用数を抑制する
(9)60歳到達前の従業員の処遇を引き下げる
(10)従来アウトソーシングしていた業務を内製化したうえで従事させる
◆賃金をどのように設定するか?
上記(9)に関連した具体的な動きとして、NTTグループでは、現役世代(40~50代)を中心に賃金額を抑制して、60歳以降の賃金原資を確保するという方針を示していますが、20歳代の従業員を中心に反対意見が多い一方、60歳代では賛成意見が多いとのことです。
「現役世代の賃金」、「60歳以降の賃金」をどのように設定するかは、各企業のフトコロ事情により大きく異なりますが、これからの大きな課題と言えるでしょう。
「職場のパワハラ」の実態と予防・解決に向けた取組み
◆厚労省が初めて職場のパワハラに関する実態調査を実施
厚生労働省が委託事業(事業委託先:東京海上日動リスクコンサルティング株式会社)により国として初めて「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」を実施し、その結果が公表されました。
この調査は、「企業調査」と「従業員調査」からなり、「企業調査」は従業員30人以上の企業4,580社から、「従業員調査」は企業・団体に勤務する20~64歳の男女9,000名からの回答(2012年7月~9月にアンケート調査実施)を基に取りまとめられたものです。
◆パワハラが発生している職場の特徴
企業調査における結果では、パワハラに関する相談がある職場に共通する特徴として、次の項目が挙げられています。
・上司と部下のコミュニケーションが少ない職場(51.1%)
・正社員や正社員以外など様々な立場の従業員が一緒に働いている職場(21.9%)
・残業が多い/休みが取り難い職場(19.9%)
・失敗が許されない/失敗への許容度が低い職場(19.8%)
従業員調査においても、これと同様の傾向が示されています。
◆パワハラの予防・解決のための企業の取組み
パワハラの予防・解決に向けた取組みとして実施率が高かったのは、上位から「管理職向けの講演や研修」(取組み実施企業の64.0%)、「就業規則などの社内規定に盛り込む」(同57.1%)、「ポスター、リーフレット等啓発資料の配付、掲示」(同40.7%)でした。
これらの効果についてですが、「講演や研修」など直接従業員に働きかける取組みは効果の実感が高い一方で、「就業規則に盛り込む」といった事項では相対的に低くなる傾向が見られます。
企業規模によっても対応可能な方法に違いが見られますが、パワハラ対策には、職場環境の改善、従業員の理解促進、社内規定の整備、研修実施など、複合的な取組みが必要になってくるものと思われます。
2月の税務と労務の手続[提出先・納付先]
1日
○ 贈与税の申告受付開始<3月15日まで>[税務署]
10日
○ 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
○ 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]
○ 労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>[労働基準監督署]
18日
○ 所得税の確定申告受付開始<3月15日まで>[税務署]
28日
○ じん肺健康管理実施状況報告の提出[労働基準監督署]
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
○ 日雇健保印紙保険料受払報告書の提出[年金事務所]
○ 労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
○ 外国人雇用状況報告(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]