事務所便り2月
金曜日, 2月 6th, 2009職場での「不当な扱い」と企業の責任
◆ 募集時の説明と異なる労働条件
「募集時の説明と労働条件が違う」。新聞報道によると、若手社会人の約7割、アルバイト学生の半数が、働くうえでこのような「不当な扱い」を経験したと回答していることが、厚生労働省の調査で明らかになりました。
◆ 多くの人が「対応何もせず」
勤務先やアルバイト先で受けた不適切な扱いで一番多かったのが、「労働条件が募集時の提示内容と異なる」というもので、社会人の38.4%、学生の21.8%が経験しているそうです。社会人では、「就業規則をいっでも確認できるようになっていない」が28.2%、「労働条件を書面で提示されていない」が22.6%で「残業代が支払われない」も21.3%にのぼり、学生の回答もほぼ同じ項目が上位に並びました。逆に、「不当な扱いの経験がない」と答えたのは、社会人で28.9%、学生の52.6%でした。
このような不当な扱いを受けた際にどのよう対応をしたかを聞いたところ、「同僚に相談した」「転職した、辞めた」といった回答よりも多かったのが、「何もしなかった」という回答で、社会人の41.3%、学生の54,8%を占めました。
◆ 大きなトラブルになる前に
「何もしなかった」という理由として、社会人・学生ともに「どうせ何も変わらない」「対処するのが面倒」ということが多く挙げられています。その原因として、若い社会人や学生の多くが、労働法規の理解が乏しかったり、理解していてもどうせ改善されないと考えたりするということがあるようです。改善策としては、学校教育や社員研修の中で、労働者の権利と義務を学ぶ機会を与え、キャリア教育を充実させる必要性があると指摘されています。
労働者が不当な扱いを受けていながらそれを放置していたからといつて、会社側は安心できません。不当な扱いの中には、「残業代の不払い」「労働条件の相違」「上司による嫌がらせ」「セクハラ」等、経営者側の法律違反・コンプライアンス違反が問われるものが多く見受けられます。残業代不払いやセクハラ問題が、労働者の訴えにより明らかになり、多額の不払い残業代や損害賠償請求などを支払わなけれぱならない状況に追い込まれ、経営が圧追されている企業も最近ではたびたび見受けられます。
まずは法令順守の目線から職場環境を見直し、正社員・非正社員と雇用形態にかかわらず、誰もが働きやすい職場作りを目指すことが、経営者にとって急務といえるでしょう。
内定取り消しによる企業名公表の基準
◆ 内定取消しが急拡大
企業による新卒者の内定取消しが大きな社会問題となっています。
厚生労働省の調査によれば、来春に高校や大学を卒業する学生の採用内定取消件数は、12月下旬時点で172事業所769人となっています。この数字は、11月の第1回調査時点(331人)と比較して急拡大しており、大手証券会社の破綻による影響が出た1998年(1,077人)を上回るハイペースです。 産業別では、不動産が197人と最多で、製造業が187人で続いています。
また、文部科学省は、内定取消し問題で大学関係者らを集めて12月中旬に緊急対策会議を開きましたが、大学側の調査により、国立大だけで47人の内定取消しがあったことがわかっています。また、日本高等学校教職員組合の緊急調査では、採用内定を取り消された高校生が全国で73人(12月19日現在)にのぼっています。
◆ 内定取消しが認められる場合とは?
大日本印刷事件(最高裁昭和54年7月20日判決)では、内定取消しが認められる場合について、「内定当時知ることができず、また知ることを期待できないような事実があり、それを理由に内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認できる場合」に限られるとしています。
しかし、企業との結びつきの強弱の観点から、内定取消しは、社会通念上相当な事情があれば、正式採用後の解雇に比べると合理性や相当性が緩やかに認められるといえるでしょう。
◆ 内定取消し企業名の公表基準
厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会職業安定分科会は、1月上旬に、厚生労働省が示していた新卒者の内定取消し企業名の公表基準について了承し、舛添厚生労働大臣に答申しました。1月中に実施される予定の公表基準 (5項目) は以下の通りです。
(1) 2年連続で内定取消しを行った。
(2) 同一年度に10人以上の内定取消しを行った。
(3)事業活動の縮小が余儀なくされていると明らかには認められない。
(4) 学生に内定取消しの理由を十分に説明していない。
(5)内定を取り消した学生の就職先の確保を行わなかった。
昨年中に内定取消しを行った企業についても、上記の基準に該当すれば、企業名が公表されるそうです。
2月の税務と労務の手続き[提出先・納付先]
~当事務所よりひとこと~
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
今年は、自宅近くの多摩川に初日の出を見に行ってきました。早朝の空気は冷たく澄んでいて年の初めを、清々しい気持ちで迎えられました。
引き続き経済状況は最悪ですが、 気を引き締めて頑張っていきたいと思います。